【データ】M-1グランプリ2022 審査員別得点 採点結果データ分析 バラバラ審査の果てに

今年もまた王者が生まれたM-1グランプリ。
今年は2名の審査員が変更になり、その採点内容も非常に興味深く、

まだまだ余韻を楽しんでいきます!
では今年も、採点データをいろんな角度から見ていきたいと思います!

作成日:2022年12月18-19日

すみませんが、またまた申し訳エラそうに演者のみなさまの敬称略で、
勝手ながら分析させていただきます。

※ 点数・傾向に関しての分析であり、
審査や大会に関する批判の意図等はありません

 

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M-1グランプリ 2022 採点結果

1st ラウンド

※審査員ごと最低点を青字、高得点3つを赤字で示しています

私の好みで、上手から(松本さん側から)の表示順にしています。
では、早速ファーストラウンドの点数を見てみます。

毎年のように言っておりますが、
賞レースの勝ち筋に、
「個性的な審査員からまんべんなく高評価をもらうこと」
があります。
(たとえ1人が5点低くつけても、他の6人が1点高くつければ取り返せるから)
今年も、ものの見事にトップ3に現れていました。

6人から評価の高かった さや香、
4人から評価の高かった ロングコートダディとウエストランドが、
そのままトップ3に。
そして3人から評価の高い 男性ブランコが4位、
2人から評価の高い ヨネダ2000が5位という、
審査員ごとの高評価の数がほぼそのまま順位
に反映されました。

これは昨年の傾向と全く同じです。

そして、
各審査員のトップ3評価が8組にわたったのは、
2020年、2021年と同じであり、
各人でトップ3の好みが分かれたバラバラ審査
でもあります。

 

その中でも評価が割れた・割れなかったのは?

ここで、右端の偏差に注目してみます。
偏差はどれほど審査員ごとの点数に差が出たか。
小さいほど、評価が割れず、

大きいほど、評価が割れたという目安になります。

ここで1点台の4組のうち、
ロングコートダディ、さや香は「審査員みんなが高評価」
ダイヤモンド、キュウは「審査員みんなが低評価」
という、こちらも残酷な結果
が見えてきます。

一方で、最も評価が割れていたのが、男性ブランコ
次点で、カベポスター です。

カベポスターに関しては、
トップバッターで評価基準が定まっておらず、
大吉さんの高評価と、邦子さんの低評価を同時にもらったということもあり、
それが数値に現れました。

一方で、男性ブランコは、
松本さん、礼二さん、富澤さんから高評価をもらっていたものの、

志らくさんと塙さんは中評価、
邦子さんや大吉さんに至っては下から数えるほうが早く、
この評価の分かれが1stラウンド敗退に響きました。
これは私的にも意外な数値でした。

 

点差をグラフで見てみる

次に、順位ごとに点差はどれほどあったのかを見ます。

1位のさや香が頭一つ抜け、2位3位がほぼ同じ、
4位から6位が団子、あとは7位以下という賞レースの残酷な結果が見えてきます。

そして、
3位ウエストランドと4位男性ブランコの差が実に9点。
今年はトップ3が他を突き放していた
と言えます。

 

気になる、新審査員の採点模様は?

※バリエーション=何通りの点数でつけていたか

まずは、
開始2組で84点と95点を付けた山田邦子さんの採点基準が話題になりました。
しかし終わってみればこの2組が最低値と最高値。

ばらつきこそ7人の中で最大の3.58を示していますが、
これは大きな値とまでは言えないです。
そして、平均点こそやや低いですが、
点数バリエーションは7通り、

最大95、最低84という11点差内もごく普通です。

したがって、
邦子さんは、平均こそやや低いものの、
全体を通しては他の審査員に近い点数の割り振り方だったと言えます。

ちなみに、自身のYouTubeライブ配信で、
邦子さん自身は自分の中で平均が80点で考えていて、
他の常連審査員が90点だったという話をしておりました。

とはいっても、
「もしかしてカベポスターでやばいと感じて真空ジェシカから調整した説」があったとして、

最初カベポスターが本当は94点としても644点で7位になるだけで、
トップバッターの不利は変わらなかったでしょう。

次に、大吉さんですが、
前回の2017年時も最高最低点差は6点で、
あまり差をつけない審査をする傾向がありましたが、
今年も、ばらつきが1.78と審査員中最小であり、
その傾向は前回と同じだったといえます。

そして、
松本さんは2017年からずっと9~10通りの点数バリエーションで、
明確に「順位付け」の意図
を感じます。
今年にいたっては10通りの点数でした。
つまり、松本さんの中では、完全に1位から10位まで決まっていたようです。

全体に関しては、
今年は、審査員の偏差平均が2.87
となり、
史上最低だった昨年、次点の一昨年よりは大きな差
になっておりました。

つまり、昨年、一昨年は「団子状態」だったのが、
今年は上位と下位で
やや点差をつけたということになります。

 

最も、最終順位に近かった審査員は?

ここでちょっとお遊び。
2019年のM-1で、

松本さんの得点順位付けが最終順位と完全に一致していたことが話題になりましたが、
今大会でも見てみることにします。

完全一致した人は居ませんでした。
それどころか、上位3組すら一致した人がいません。
総合でトップ3の点数が抜けていたものの、
個人でトップ3を一致させた人がいないという、非常に珍しい現象
です。

審査員が誰一人「三連単」を当てられていません。
審査員の好みが分かれた上で、総合で選ばれし3組だった事を物語っています。

最も近いのは3位4位、5位~8位が近い富澤さんでしょうか。
それにしても全員の順位がバラバラすぎて近年でも見たことがないです。

 

7審5採用方式でも見てみる

こちらもちょっとお遊びです。
スキーなどでよく採用される、
最高点、最低点を除いた合計
を適用してみます。
順位は変動することがあるのでしょうか?

ご覧の通り、順位はほぼ同じ(ヨネダ2000が1つ順位をさげたのみ)。
ということは、多少は差をつけた審査があったところで、
審査員の大体の意見は一致していた
と言えるでしょう。

 

最終決戦

さて、ウエストランドが先陣を切って場を荒らし、
さや香が熱量をもって振り払わんとした最終決戦
はどうだったでしょうか。

今年は、ウエストランドが6票と、ほぼ文句なしの優勝!
個人的にはもう少し割れると思っていたので意外な結果でした。

ここで、1stの結果をふりかえります。

大吉さんが、1stラウンドの高得点そのままに、さや香へ投票。
志らく師匠も、1stラウンドの高得点そのままに、ウエストランドへ投票。
残り5人がさや香からウエストランドへの「鞍替え」という結果
となりました。

富澤さんに至っては、
3点差を覆すほどの「逆転」。

M-1グランプリでの最終決戦は、
元々の審査員ごとの好みはあっても、
みなさんあくまで最終決戦は最終決戦で別評価する軸を持っているようです。

 

おまけ

さて、
本編で大吉さんが言っていた審査基準が気になった方も居るんでは無いでしょうか。
ロングコートダディに言った「ネタ時間が20秒短かった」という話です。

全組のネタ時間を調査してみました。

確かに、ロコディの1本目が3:40で最短です。
基準となる4分から考えるとたしかに短く感じたのでしょう。
一方で、真空ジェシカがダントツの43秒オーバー。
もしかしたらこちらも審査に影響があったのかもしれません。

 

データ集

以下、今年みられたおもな記録やデータ集です。参考になれば。

1位の得点が歴代6位

さや香が667点、
これは新M-1になってから2019年ミルクボーイの681点に次ぐ2位記録。

旧M-1を合わせると
2004年 アンタッチャブル673、
2009年 笑い飯668、
2010年 笑い飯668、
2010年 パンクブーブー668
に次ぐ、6番目の記録となります。

 

3位の得点が史上最高点

3位ウエストランドが659点
つまり最終決戦への最下位ボーダーラインが、
2021年の655点を上回る史上最高点となりました。

 

トップバッターの得点が歴代2位タイ

今年トップバッターのカベポスターが634点。
これは2021年のモグライダー637点に次ぎ、
2009年ナイツの記録634点と並ぶ
史上2位記録となりました。

 

平均点が史上3位

今年の平均点91.99点は、M-1史上3番目の「高得点大会」
2019年の92.26点、2021年の92.09点につぐ
過去最高値に肉薄するハイレベルな大会だったと言えます。

一方で、
最低点は山田邦子さんのつけた84点であり、
これは点数が高くなりすぎていた近年のM-1に一石を投じたと見ることもできます。

 

さいごに

個人的には、
王道漫才・さや香が持っていくんじゃないかと思っていた今大会の最終決戦。

フタを開ければ、
偏見とグチのかたまりの、背丈の小さな男が、
「イケ好かないやつあるある」をボロクソに言って日本中を涙出るほど笑かしている。
私も涙が出るほど笑いました。
が、さすがに毒が強いかと感じておりました。

しかし、審査員が投じた最終票。
「良いぞもっと言え!」
「お笑いってそんな高貴な芸能じゃなく、もともと低俗なゲスの遊びよ」
そう言われた気がしました。

私的には、
礼二さんの1票がとてつもない説得力です。
2020年のマヂカルラブリーに投票した時と同様、
王道しゃべくり漫才師があげた白旗の瞬間を見た気がします。

春のR-1グランプリではお見送り芸人しんいちが優勝し、
冬のM-1グランプリではウエストランドが優勝。

1年を通して、毒っ気の濃いお笑いが好まれた年でした。
気をつけていれば、人をイジるのも悪くないんだよと、
この毒はきっと、人々に耐性をつけ、ワクチンとなるでしょう。

毎度のことながら、M-1グランプリは、
決勝の10組だけでなく、敗者復活戦や予選までも最高に面白いです。
みんな最高にプロフェッショナルでした。

今年も年末に、極上のお笑いをありがとうございました🙇🙇

では王者・ウエストランドの言葉でお別れしたいと思います。

井口「自分の人生なんですけど初めて主役になれた気がしました」
河本「・・ぼ、僕も一緒です!」

 

長々と読んでいただき、ありがとうございました。
そいではまたー